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【CKD(慢性腎臓病)について】

CKD(Chronic Kidney Disease:慢性腎臓病)とは、
腎臓の障害(尿蛋白など)または腎機能の低下(GFR<60)が 3か月以上続く状態 を指します。

腎臓は、体の老廃物の排泄、体液・電解質の調整、血圧の調整、赤血球を作るホルモンの分泌など、多くの重要な働きを持つ臓器です。


この腎臓の機能がゆっくりと低下していくのが CKD であり、進行すると

・末期腎不全(透析が必要な状態)


・心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患

のリスクが大きく上昇します。

【CKD の診断基準】

次のどちらか、または両方が 3か月以上持続した場合 CKD と診断されます。

① 腎障害(主に尿蛋白陽性など)


② eGFR(腎機能)が 60 mL/分/1.73m² 未満

尿蛋白や尿潜血は、腎臓からの大切なサインです。

【CKD は C・G・A の 3つで評価】

CKD の重症度は、以下の3つで分類します。

● C:原因疾患
(糖尿病腎症、高血圧性腎硬化症、腎炎、薬剤性、加齢など)

● G:GFR のステージ(G1〜G5)
→ 腎機能そのものを示す指標

● A:尿蛋白のステージ(A1〜A3)
→ 腎臓の障害の強さを反映

例:
GFR 42、尿蛋白1.2g/gCr → CKD G3bA3(中等度〜高度)

【尿蛋白と尿潜血はなぜ重要なのか?】

尿蛋白が出る=糸球体(腎臓のフィルター)が傷んでいるサインです。
尿潜血も、糸球体の病気や尿路の病気を示すことがあります。

● 尿蛋白が多いほど腎機能低下や心血管疾患のリスクが高まる


● 尿潜血は、糸球体病変や尿路疾患の可能性

尿検査は腎臓の最も基本で重要な検査です。

【推定1日尿蛋白量】

随時尿であっても、

(尿中蛋白 mg/dL)÷(尿中 Cr mg/dL)
= 推定1日尿蛋白量(g/day)

として、腎臓の状態を正確に把握できます。

【CKD の主な原因】

● 糖尿病腎症


● 高血圧性腎硬化症


● 慢性糸球体腎炎


● 薬剤性(特に NSAIDs)


● 多発性嚢胞腎


● 加齢による腎機能低下

生活習慣病との関連が非常に強いため、包括的な管理が欠かせません。

【健診で受診をすすめる基準】

● 尿蛋白 異常


● eGFR 50 未満


● 尿蛋白と尿潜血がどちらも陽性

健診でこれらを指摘された場合は、早めの受診がおすすめです。

【腎臓専門医への紹介が必要となる状況】

● 尿蛋白 0.5 g/gCr 以上


● 尿蛋白+尿潜血がともに陽性


● eGFR が年齢に応じた基準より低い
 ・40歳未満:60 未満
・40〜69歳:50 未満
・70歳以上:40 未満


● 血清クレアチニン 2.0 mg/dL 以上


● 腎機能が急速に悪化している場合


● 尿潜血陽性の場合(膀胱炎の時などを除いて)

【CKDにみられる症状】

初期には自覚症状がありませんが、進行すると次が現れます。

・むくみ
・疲れやすい
・貧血
・夜間尿
・血圧上昇
・食欲低下

【CKDと心血管疾患】

腎機能が低下し、尿蛋白が増えるほど、

● 心筋梗塞


● 脳卒中


● 心不全

などのリスクが大きく上昇します。

CKDは腎臓だけでなく、“血管全体の病気”と捉える必要があります

【治療の基本:生活習慣+リスク管理】

● 血圧管理(130/80 mmHg未満を目安)


● 血糖コントロール


● 脂質管理


● 減塩


● 体重管理


● NSAIDs の乱用回避


● 禁煙


● 適切な水分摂取(病態に応じ調整)

カリウム制限が必要な場合

腎機能が低下するとカリウムが排泄できず、危険な不整脈を起こすことがあります。


必要に応じて以下の対応を行います。

● 果物は量を半分に


● バナナ・メロン・キウイは控えめ


● 野菜は小さく切って茹でこぼす


● 海藻類のとりすぎに注意


● ジュースやスムージーは控える

(茹でこぼしによるカリウム除去率:ほうれん草45%、インゲン約30%)

【腎性貧血と治療】

eGFRが低下してくると腎臓で赤血球を作るホルモン(エリスロポエチン)が不足し、
腎性貧血 が進行します。

ESA製剤などにより、
赤血球の不足を補い、疲労感を改善します。

目標 Hb:11.5〜12.5 g/dL(上限13.0)

【透析が必要となる段階】

G5(eGFR 15未満)になると、
透析や腎移植を検討する段階になります。

透析導入は突然行うものではありません。


腎機能の推移、尿量、むくみ、電解質異常などを見ながら計画的に準備を進めます。

森クリニックでは腎臓専門医と連携し、
最適なタイミングでの治療移行を支援しています。

【院長からのメッセージ】

CKDは、早期に気づいて適切な介入を行うことで、
腎機能の悪化を大幅にゆっくりにできます。

● 尿蛋白
● 尿潜血
● eGFR
● 高血圧・糖尿病の状態
● 生活習慣

これらを総合的に評価し、
「何を、どこまで、どの順番で行うべきか」
を患者さんと一緒に明確にする診療を大切にしています。

健診で異常を指摘された方、数値が気になる方は、
どうぞお気軽にご相談ください。

【関連項目】

高血圧

糖尿病

 

脂質異常症

 

痛風・高尿酸血症

 

脂肪肝

慢性腎臓病(CKD)

​睡眠時無呼吸症候群
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