🩺【脂肪肝(MASLD:代謝関連脂肪性肝疾患)について】
【脂肪肝(MASLD:代謝関連脂肪性肝疾患)とは】
脂肪肝とは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態を指します。
これまで NAFLD/NASH と呼ばれていたものは、2023年以降、より明確に
● MASLD(代謝関連脂肪性肝疾患)
● MASH(炎症を伴う脂肪肝)
と再定義され、“生活習慣病と深く結びつく代謝異常としての肝疾患” と理解されるようになりました。
日本人の約3人に1人が脂肪肝といわれ、極めて身近な病気です。
しかし、初期はほとんど症状がなく、放置すると
・脂肪肝炎(MASH)
・線維化
・肝硬変
・肝がん
へと進行する可能性があります。
【脂肪肝はなぜ起こる?】
● 糖質のとり過ぎ(白米・パン・麺・甘い飲料)
● 内臓脂肪の蓄積
● 運動不足
● アルコール
● 睡眠不足・ストレス
● 2型糖尿病
● 脂質異常症
● 高尿酸血症
日本人は「やせていても脂肪肝を起こしやすい」遺伝背景を持っており、BMIが高くなくても安心できません。
【脂肪肝の進行ステップ】
脂肪肝は次の順番で進行します。
① 単純性脂肪肝(脂肪の蓄積のみ)
② MASH(炎症を伴う脂肪肝:肝細胞障害・炎症)
③ 線維化(肝臓が硬くなる:F1〜F4)
④ 肝硬変 → 肝がん
ポイントは、
MASHと線維化は“早期なら戻せる”病態 であることです。
【症状について】
多くの方は無症状ですが、進行すると
・倦怠感
・右上腹部の重さ
・食後のむかつき
・食欲低下
などが現れることがあります。
「症状がないから大丈夫」ではなく、健診異常が最初のサインです。
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── ★ 生検なしで MASH(炎症性脂肪肝)をどう判定する?──
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MASH の確定診断は肝生検ですが、現代では生検なしでも “高精度でMASHを推定できる” ようになっています。
森クリニックでは、以下の組み合わせで MASH を総合判定します。
【1)血液検査でわかる「炎症のサイン」】
● ALT高値が持続(40〜60以上)
● AST/ALT比が1未満
● γ-GTP高値
● フェリチン高値(慢性炎症のマーカー)
● 糖尿病・脂質異常症の併存
これらは炎症性脂肪肝を疑う重要な所見です。
【2)肝硬度(SW:Shear Wave)測定】
当院のエコーでは 肝硬度(線維化) を数値化できます。
▶ F2以上(中等度線維化)=MASHの可能性が高い
▶ F3〜F4なら、ほとんどが炎症性脂肪肝を背景に持つとされる
SW測定は脂肪肝の“進行度”を把握する最も強力な非侵襲的検査です。
【3)FIB-4 index(血液だけでわかる線維化スコア)】
● FIB-4 ≥ 1.3 → MASH疑い
● FIB-4 ≥ 2.67 → 線維化進行の可能性が高い
血液検査だけで線維化を推測でき、初期スクリーニングとして非常に優秀です。
【4)腹部エコーの典型所見】
エコーでは脂肪量そのものは数値化できませんが、
● 肝臓の輝度上昇(白く明るい)
● 後方エコーの減衰
● 肝腎コントラストの増大
などから脂肪肝の存在と重症度を評価できます。
【5)臨床背景から推定】
● 2型糖尿病
● 内臓脂肪型肥満
● 高血圧
● 脂質異常症
● 睡眠時無呼吸症候群
これらを複数持つ人は、MASHのリスクが極めて高いことがわかっています。
【総合判定】
以下 3つ以上当てはまれば、MASHの可能性が非常に高い とされます。
① 脂肪肝+ALT高値が持続
② 肝硬度(SW)高値
③ FIB-4高値(1.3以上)
④ 糖尿病
⑤ 内臓肥満
⑥ 高血圧・脂質異常症・痛風
⑦ フェリチン高値
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── ★ 当院の脂肪肝(MASLD/MASH)診療の特徴 ──
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【① 肝硬度(SW)測定ができるエコー設備】
当院の腹部エコーでは、
● 肝硬度(線維化)
● 脂肪肝の典型所見
● 肝臓・胆のう・膵臓・腎臓の総合評価
が一度に可能です。
肝硬度が高いほど
→ 肝硬変・肝がんのリスクが増す
→ 通院間隔・介入の強さを変える必要がある
ため、初診時とフォローアップでのSW測定は極めて重要 です。
【② 血液検査との組み合わせで“現在地”を明確化】
● 肝機能(AST/ALT、γ-GTP)
● 糖代謝(血糖、HbA1c)
● 脂質
● 尿酸
● 腎機能
● FIB-4 index
を総合し、「今どの段階にいるのか」「進行しやすいタイプか」を明確にします。
【③ 合併疾患(糖尿病・脂質異常症・高血圧)を同時に診療】
脂肪肝は単独では改善しません。
生活習慣病の“総合管理”が不可欠です。
【④ 治療効果を“見える化”】
● 体重
● 肝機能
● 肝硬度(SW)
を定期的に追うことで、治療の進捗がはっきりわかります。
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── ★ 脂肪肝治療──
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【生活習慣改善:最重要】
● 体重の5%減 → 肝機能改善
● 7〜10%減 → 線維化改善
● 糖質の適正化
● 甘い飲み物完全オフ
● 夜間の炭水化物を控える
● 週150分の有酸素運動
● 筋トレ
● 睡眠改善
● アルコールの見直し
【薬物治療】
脂肪肝に効果が期待できる薬剤:
● SGLT2阻害薬
● GLP-1受容体作動薬
● GIP/GLP-1作動薬(チルゼパチドなど)
● ビタミンE(一部適用)
特に糖尿病・肥満を伴う脂肪肝では、有効な場合が多いと言われています。
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── ★ 院長からのメッセージ ──
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脂肪肝は「ただの脂肪」ではなく、
放置すれば進行し、適切に介入すれば改善する病気 です。
重要なのは、
● いま脂肪肝がどの段階にあるか
● 進行しやすいタイプか
● どの程度の介入が必要か
を正確に判断することです。
当院では、
● 肝硬度(SW)測定ができるエコー
● 血液検査
● 生活習慣病の包括診療
● 必要に応じた薬物治療
を組み合わせ、
脂肪肝・MASHの“早期発見・早期介入・進行予防”を徹底して行っています。
また、必要に応じて岡山済生会総合病院などの高次医療機関と密に連携して診療する体制を構築しています。
「健診で脂肪肝といわれた」
「肝機能が高いまま下がらない」
「糖尿病や中性脂肪も心配」
そんな方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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痛風・高尿酸血症
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